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レシピ04/紺野静子さんのふきの油炒り

 「津島にいたときは、山へ行けばたくさんあるわけ。背負いきれないほど。だからそれをその時だけじゃなくて保存しておけばあとあと食べられるの。」
 春の恵みたる山菜は、保存加工を施すことで一年を通じた自然の恵みへと姿を変えます。梅雨時前に採れたふきの場合は、沸騰したお湯で茹でて皮を剥き、水で洗ってたっぷりの塩をふったら、きつめの重石を乗せて樽の中で塩漬け保存。剥いた皮も捨てずに重ねて漬けることで、風味がしっかり残ります。
 こうした仕事が施されたふきを使った油炒りと共に静子さんが思い出すのは、田植えの時期の「結」(ゆい)のこと。毎年1週間から10日間ほど続く春の田植えは農家の一大行事。一家単位で行うには大変な作業を、同じ集落の人びとが共同作業する結の営み。大勢の人が集まるので朝昼晩に30名分ほどの料理が作られますが、色々な料理の中でふきの油炒りはごちそうだったそうです。
 静子さんが作るこの料理は、特定の場で教わったというより、こうした日にお母さんや隣近所の方々が台所に立つ姿や香り、そして味を幼き日の記憶の中から掘り起こして、見よう見まねから始まった作り方が少しずつ身体に染み込んだもの。「食材と作る人がすぐ近くにいたからこそ、身体で覚えることができたんだ」と当時を振り返ります。
 一方、静子さんの隣では「私は5月の連休を思い出すなあ」と娘の綾子さん。「5月の連休というと家族でどこかに出かけるというのが一般的かもしれないけど、うちは津島の家に子や孫たちが集まるんです。その時のごちそうの中には必ずふきの油炒りやたらぼ(たらの芽)の天ぷらがあって喜ばれたものでした」。
 浪江町津島にいたときも、避難先である福島市にいる今も、静子さんは春に採れた山菜を塩漬け保存し、お子さんやお孫さんが帰ってきたときに振る舞うことで、次の世代との間に食の記憶を紡いでいます。

材料2人分)

・ふき・・・・・・・・・・・・・・100g

・菜種油(サラダ油)・・・・・・大さじ1

・しょうゆ・・・・・・・・・・・大さじ1

・顆粒だし・・・・・・・・・・・小さじ1

 

 

ふきの油炒りの作り方

  • 生のふきを使う場合

    1./鍋に入る程度の長さに切って、沸騰したお湯で3〜5分程度茹でる。

     

     

    塩漬したふきを使う場合

    1./ふきを5センチほどの長さに切ったら、沸騰させたお湯で茹でてから水につけて塩抜きする。フキをなめてみてしょっぱかったら水を取り換えることを繰り返す。

     

    ※「生のふきを使う場合」と「塩漬したふきを使う場合」では作り方1と2の行程が違います。ご注意ください。

     

     

  • 生のふきを使う場合

    2./茹で上がったら冷水につけながら薄皮を剥き、5センチほどの長さに切って水につけてアクを抜く。

     

    塩漬したふきを使う場合

    2./塩が抜けたら水から引き上げてザルに上げる。

  • 3./鍋に菜種油を入れて、ふきを炒める。

  • 4./ふきに油が馴染んでしんなりとしてきたら、醤油と出汁を加えて味つける。

  • 5./ふき全体に味が染み込むまで炒める。なお、ふきが固めのときは水を入れて炒めると柔らかくなる。

ふきの塩漬け保存方法

  • 1./長いままのふきをさっとゆでて皮を剥く。

  • 2./10~20本くらいを束でまとめ、 樽に並べて塩をふりかけながら漬け込む。

  • 3./一番上に剥いた皮を乗せ、多めの塩をふりかる。

  • 4./押し蓋をしてきつめの重石を乗せる。

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ポイント

食材を長期保存するために、昔から行われている手法の一つが塩漬け。 大量の塩に素材を漬けることで塩分濃度の高い状態にしておくと、雑菌が繁殖しにくくなります。 塩漬けした食材を料理に使うときには、そのままでは塩味が強いので茹でて塩抜きをしてから調理に使います。

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